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核融合発電は暴走しません

核融合発電原料は海水。これが良いことの1番目だとすると、2番目の良い点は左の写真のコンロと関係しています。コンロに天ぷら油を入れた鍋をかけて暖めます。コック(ツマミ)を調節して油の温度を適当なところに調節して、そして天ぷらを揚げます。ここで、間違ってコックを目一杯開いて、放置したらどうなるか想像してください。油の温度はどんどん上がり、炎が上がります。こうなるともうなかなか消えません。核融合発電ではこのような『暴走』という現象が起きません。
核融合発電では、コンロと同じようにツマミを開いて燃料(熱)を供給し、温度を高めて行きます。ちょうど良いところで、つまみを調節して燃え続けるようにします。ところが、それ以上にツマミを開くと、温度が下がって、逆に燃焼が止まってしまいます。天ぷら油の場合と違いますね。だから暴走しようがありません。いつもツマミを調整し続けないと燃えません。どのようにツマミを調整するかが難しいのですが、現在は実験装置やスーパーコンピュータを使った研究が進んで、ツマミの調節方法も予測できるようになってきました。

核融合発電は暴走事故の起こらない発電システムとなります。

(2014.1.10追記)原子力発電との比較でいうと、連鎖反応ではないということが重要です。ウランを使う核分裂反応は、一つの反応が次の反応の引き金になります。次々に反応が続くので連鎖反応と言います。連鎖反応が続く状態を「臨界」とも言います。しかし、核融合発電での水素の核融合反応は、個々の反応が連鎖していなくて独立したものです。だから、原理的に暴走が起きないのです。

コメント

匿名 さんのコメント…
放射能漏れがありますけどね(笑)
☆のかけら さんの投稿…
管理人です。コメントありがとうございます。
☆核融合発電で外部に放出される可能性のある放射性物質はトリチウム(三重水素)という燃料です。水素とほぼ同じ性質を持つ物質で、ベータ線(電子)という放射線を出します。このベータ線の力は弱く、空気中では1センチメートル飛ぶと止まってしまいます。トリチウムは隔離されていれば怖がることはありません。その危険性は同じ放射能で比較すると,原子炉でできる放射性物質,ヨウ素の1200分の1、プルトニウムの14000分の1と小さいものです。
☆核融合発電所では、トリチウムを内部で作り、内部で循環して使います。外部に勝手に放出することはありません。どうしても分離回収できなかったトリチウムは、法律の基準を守って外部に放出しますが、それは環境に影響を与えない少ない量です。
☆核融合発電が完成するまでにはまだ時間があります。トリチウムを何重にも隔離する方法、外部に放出する量を可能な限り小さくする方法を重点的に研究しています。なんらかの事故が起こったときもトリチウムを放出しないように工夫します。
☆ご指摘の「放射能漏れ」は「トリチウムの外部放出」のことをおしゃっていると思いますが、その量を最小限に抑える研究をさらに進め、核融合発電が社会に受け入れられるように頑張ります。

こちらにも関連記事があります。
http://marumaru-yamane-fusion.blogspot.com/2009/08/blog-post_2347.html
匿名 さんのコメント…
無限に臨界を向かえた核融合は、制御棒を入れても反応が止まりません。
また、核分裂も同じで反応が止まりません。
ではなぜ、暴走しないと言い切れるのでしょう。
それは、原子力発電の原理が、核共鳴反応だから抑えることが出来るからです。
核共鳴反応 ≠ 核融合 なのです。
物理学者は、目の前にある現象を説明する作業を放置してきた経緯があります。
身の回りにも不思議な現象が多くありますが、原理や構造すら理解していません。
とても残念なことです。
じゃぁ、本当の核融合ができたら安全ですかと問われると、答えはNoとしか言えません。
どうして? 無限連鎖で核融合を起こしている反応を止められません。
今考えられる対策は、宇宙空間へ投げ出し爆発させるだけの安易な方法のみ。
もし、地上で爆発したらツングースカの大爆発を例に取って考えましょう。
自ずと真意が見えるはずです。
高畑一也 さんの投稿…
管理人です。コメントありがとうございます。
核融合発電で反応を止める方法はいくつかあります。
もっとも簡単な方法が、、燃料供給を止めることです。炉の中の燃料(水素ガス)は1グラムにも満たないので、1分以内に燃料が燃え尽き、反応が停止します。
もし間違って入れ過ぎたとしても、逆に温度が低下し、反応が停止します。
停電したら、磁場のカゴを作っている電磁コイルの電流がなくなるので、プラズマは消滅してしまいます。そして反応も停止します。
このように反応を停止する方法(インターロック)を多重に用意すれば、安全性は格段に高くなります。

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1億度ってどんな温度?

核融合発電では1億度の水素のプラズマを使いますと見学者に説明すると、びっくりされます。1億度という温度が容易にイメージできないからです。そしてそのことを怖がる人もいます。だからプラズマを温度で表現するのは慎重にしないといけないようです。
☆気体は目に見えませんが、小さな粒子(分子)がある速度で動き回っています。上の絵のように、色々な方向に飛び回っています。私たちの周りの空気(窒素分子と酸素分子がほとんど)だと秒速300メートルほどです。でも空気の粒子が当たって痛いと思う人はいませんよね。(これって不思議です)

☆さて、気体の温度が高くなると、粒子の速度も速くなっていきます。プラズマになって、イオンと電子に分離しても、粒子の速度は温度が高くなるにつれて速くなっていきます。(イオンと電子の速度が同じとは限りません。)例えば「蛍光灯」は身近なプラズマの代表ですが、中の粒子(電子)は、1万度の温度になったときと同じ速度(毎秒600キロメートル)で走っています。『蛍光灯が1万度?』またまた話しがややこしくなってきました。蛍光灯を触っても、火傷するほど熱くはないですよね。

☆私たちが熱いとか冷たいとか感じるのは、温度だけでなく、(温度)×(粒子の数)が関係しているのです。(熱の伝わりやすさも関係しますが・・)蛍光灯の中に1万度の電子がいても、その数がものすごく少なければ、熱くなりません。実際にものすごく少ないのですが。

☆さて、核融合発電のプラズマは、粒子(原子核)の数(密度)が空気の10万分の1くらいしかありません。(真空と言ってもよい状態なのです)1億度の温度とかけ算すると、熱いことは間違いないですが、想像を超える熱さではありません。ちなみに、大型ヘリカル装置でできた最もエネルギーの高い(熱い)プラズマは、200リットルのお風呂のお湯の温度を2度上げるくらいのエネルギーしかもっていません。だから1億度といっても、周りのものを溶かしてしまうような力は持っていないのです。(安心してください)
☆だったら、どうしてエネルギー源になるの?という質問が来そうです。核融合発電所のプラズマで核融合反応が起こったときにできる中性子、これがある速度を持っていて、プラズマから外に飛び出してきます。その中性子をブランケットと呼ばれる壁で吸収して熱に変えるので、エネルギーが取り出せるのです…

核融合と核分裂の違い

★原子力発電所の事故以来、『核分裂』と言うべきところを『核融合』と言い間違えている発言をよく耳にするので、ここはしっかりと訂正しておきたいと思います。(こんな時期なので黙っておこうと思ったのですが、わたしにも少しは主張する権利があると思い・・)

★原子力発電所で起こる反応は『核分裂(カクブンレツ)』です。ウランのような重たい原子核が分裂して2つに割れることを『核分裂』といいます。(上側の絵)原子力発電所で『核融合』が起こることはありえません。(原子力発電所で起きた水素爆発は、水素と酸素の化学反応で、核融合ではありません)ついでに高速増殖炉(もんじゅ)も『核分裂』です。

☆『核融合(カクユウゴウ)』は、水素のような軽い原子核が二つくっついて、一つになることです。(下側の絵)今、世界中で研究が行なわれている『核融合』発電は、水素をくっつけて(融合して)、ヘリウムにする制御された核融合反応を使います。その時、『核分裂』を使うことはありません。

☆だから、次のことは自明です。『核融合』発電ではウランを使いません。だから、爆発もしないし、暴走もしないし、連鎖反応もしないし、再臨界もしないし、メルトダウンもしないし、核燃料もないし、核物質もないし、核不拡散問題もないし、高レベル放射性廃棄物もありません。

☆初期(まだ実現まで25~30年くらいかかるけど)の『核融合』発電も、トリチウム(三重水素)という放射性物質(半減期が12年)を扱うため、100%クリーンとはいえません。しかし、放射能漏れによる潜在的リスク(発電所が保有する放射性物質の強さの合計)は原子力発電の1000分の1以下です。だから最悪の事故を考えても、周辺住民が避難するような事態にはなりません。

核融合発電のしくみ

☆下の絵は、核融合発電の仕組みを簡単に書いたものです。核融合発電の中心は「核融合炉」です。(火力発電では「ボイラー」、原子力発電では「原子炉」と呼びます)炉の中で燃焼しているのは、水素の仲間(重水素三重水素)を真空状態に近い希薄なガスにし、1億度まで加熱したものです。これを『プラズマ』と呼びます。中では核融合反応が起きていて、反応で発生したエネルギーを熱として取り出して水を沸騰させます。そして蒸気でタービンを回し発電します。蒸気はもう一度海水で冷やして水に戻します。ここまでの話では、燃えているものが違うだけで、火力発電、原子力発電とおおまかな仕組みは同じです。(次世代の核融合発電では効率の高い直接発電も考えられています)


☆火力発電や原子力発電では燃焼している燃料から直接熱が発生し、熱を取り出すことができます。ところが核融合炉ではまず、核融合反応でできた高速で飛び出してくる中性子を周りを覆った厚さ1mのブランケットと呼ばれる部分で受け止めます。ブランケットで受け止められた中性子は速度を落とし、その落ちた速度に相当するエネルギーが熱に変わります。(プランケットの温度は500度ぐらい)この中性子の運動エネルギーが熱エネルギーに変わるところが従来の発電と異なる点です。

☆材料(主に金属)に中性子が当たると、機能が劣化したり、放射化(普通の材料が放射能を持つように変化)したりします。中性子が当たっても丈夫な材料、さらに放射化しにくい材料の研究が現在精力的に行われています。そして最初の核融合炉に使うことができる材料の候補もすでに見つかっています。当然のことですが、生体遮蔽(作業者や周辺の住民に中性子を含む放射線が当たらないようにすること)が絶対に必要ですが、その技術はすでに開発されています。

☆プラズマが周囲の壁に触れてしまうと、プラズマの温度が下がって、核融合反応が止まってしまいます。そのために『磁場のかご』を使ってプラズマを空中に浮遊させます。(このとき壁とプラズマは離れていて、その間は真空になっています)この『磁場のかご』を作り出すのが、ブランケットの外側にある超伝導マグネットです。超伝導マグネットはマイナス269度という極低温に冷やされます。1億度という超高温とマイナス269度という極低温が数メートルほどの距離で接近していることも工学的に難しい技術です。しかし、…

核融合科学研究所の重水素実験に対する誤った情報の指摘

核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の大型ヘリカル装置(LHD)で、重水素ガス(無害)を用いたプラズマ生成実験が開始されました。普通の水素ガスを用いるより重水素ガスを用いた方が、プラズマの温度が上がると言われていて、数年以内には、装置としての目標である1億2,000万度のプラズマ生成を達成すると思います。(現在の水素ガスの実験での達成値は9,400万度)この実験は、将来の核融合発電を実現するために必要不可欠なものです。
 この実験は基礎段階の学術的なもので、核融合反応を起こす(エネルギーを発生する)ことが目的ではありませんが、重水素同士が核融合反応(D-D反応)が起きる確率はゼロではなく(D-T反応に対して100分の1程度)、実験に使った重水素のごく僅かが核融合反応を起こします。その時に放射性物質である三重水素(トリチウム)と放射線である中性子が発生します。トリチウムは回収、中性子はコンクリート壁(もちろん天井もコンクリート)で遮蔽という安全対策をとり、もちろん法令を遵守して実験を行います。また1億度と言っても、周りの壁が溶けることはありません
 しかし、この実験には反対運動も根強く、広く市民に説明し、地元自治体の同意を得、実験を開始するまでに、約10年を費やしました。それでも、実験を開始する時点で、ネット上に誤った情報が多く流れ、市民の皆様に不安を与えてしまいました。もし、実験に不安に感じておられる方で、偶然この記事を見られたとしたら、最近のネット上の情報の誤りを指摘しますので、ぜひ参考にしてください。
民間の放射線計測システムで高線量(例えば2.6μSVとか)が観測されたとありますが、重水素実験とは全く関係ありません。なぜなら、研究所敷地内で高線量は観測されていないからです。研究所敷地内の環境放射線モニタリングシステムのデータを見ていただければ一目瞭然です。実験が開始されても値は変化していません。https://sewebserv.nifs.ac.jp/map.php (外部リンク)もしくは https://sewebserv.nifs.ac.jp/past.php (外部リンク)(なお、雨が降ると値が少し上昇しますので、ご注意ください。ガンマ線では200、中性子線では20という数字が自然の放射線量の範囲の目安です)装置がある建物に天井がない、中性子が空から飛ん…

重水素燃料を海水から取り出すためのエネルギー

核融合発電燃料重水素(水素の同位体)ガスです。海水中に無尽蔵に存在するため、枯渇する心配がありません。ところが、水素の中の重水素の存在比率は0.015%しかありません。「重水素を抽出するために、莫大なエネルギーを使わないのですか?」と質問をされることがあります。その質問にお答えしたいと思います。

☆上の絵は、水の中の分子の様子を表したものです。ほとんどの水分子では、水素(青い玉)2個と酸素(黄色い玉)1個がくっついている状態が、ほんの一部だけは重水素(赤い玉)と酸素がくっついています。この重水素と酸素が結合した水のことを「重水」と呼びます。また普通の水素でできた水を「軽水」と呼びます。(「重水」と「重水素」は違うものですのでご注意ください。また実際には水素1個と重水素1個と酸素1個が結合した水分子があるのですが、話しを簡単にするためにここでは省略します。)
☆「軽水」と「重水」を分離する技術は、すでに工業化されています。新しい方法としては、電気分解を使う方法があります。電気分解(電気で水素と酸素に分解すること)すると、「重水」より「軽水」の方が早く分解します。だから部分的な電気分解を繰り返すと「重水」だけが濃縮されて残っていくというしくみです。 ☆「重水」ができれば、後はこれを、完全に電気分解すれば「重水素」ガスと酸素ガスに分解できます。重水素はこうのようにして生産されます。
☆さて問題は、重水素の生産に必要なエネルギーです。生産過程では「重水」生産がほとんどのエネルギーを使います。論文で調べると、1kgの重水を生産するのに必要なエネルギーは57MWh(メガワット時)ということでした。一方、1kgの重水には200gの重水素が含まれてます。この重水素を使って核融合反応を起こすと38,000MWhのエネルギーが発生します。これは重水生産に必要なエネルギー(57MWh)の約700倍になります。つまり、燃料生産に必要なエネルギーは、発電されるエネルギーに対して十分に小さいという結果になります。
(参考:R. Dutton他、Nuclear Engineering and Design 144 (1993) 269)